秘密の★オトナのお勉強③
お父さんが食べ残した刺身をラップに包み、冷蔵庫に入れる。
ふぅ…っと息を吐きながら、あたしは台所に貼ってあるカレンダーを視界に入れた。
今は三月中旬。
あたしは通っていた中学校をついこの間卒業したばかりで、四月のある日には、赤ペンで大きく丸を付けられており、
―――「ちい・高梨学園入学式」
と表記されている。
きっと、お母さんが書いたモノだろう。
「そっか…。あたしがこの家で過ごすのも、あと少しなのかぁ…」
そして、あたしの進学する高梨学園は、まさかの全寮制の高校であり、東京から遠く離れた土地にある。
その為、夏休みなどの長期休業中にしか家に帰って来れないし、お母さんの美味しいご飯だって食べる事が出来ないのだ。
だけど、高梨学園に進学しようと決めたのは、誰でもない自分。
あたしにはある理由があって、遠く離れた全寮制の高校に決めたのだ。
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