秘密の★オトナのお勉強②
「そろそろ時間じゃねぇの?」
「本当だ!」
貞永の言う通り、時計の針は、ちょうどいい時間を指していて。
あたしは、準備万端な貞永と、資料を読み始めようとした菊池を連れて、製作発表の会場に向かう事にした。
静かな廊下に響くのは、あたし達三人の足音だけ。
他の共演者達は、既に会場へと向かったのだろうか。
「貞永、いつものペースで頑張ってきなよ!」
「まかせろって」
仕事前のいつもの雰囲気で話すあたしと貞永を、菊池が無言で着いてくる。
チラッと後ろにいる菊池を見ると、さっき渡した資料をちょうど読み始めた所だった。
…と言っても、本当にペラペラとめくっているだけなんだけれども。
「菊池、頭にちゃんと入ってる?」
「バッチリッス」
本当なのだろうか。
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