秘密の★オトナのお勉強②



そんな菊池に疑問を感じながら、あたし達は歩き続ける。


次の角を曲がった所で、会場に着くという、ちょうどその時―――




「あゆに貞永くん?」



「へ…?」




後ろから、誰かに呼び止められた。


いや、「誰か」ではない。

あたしの知ってる、優しい人の声だ。



ゆっくり振り返ったあたしは、予想通りの人物に、頬を緩ませた。




「…久しぶり。今日からまたよろしくね」



「冬馬…!!」




柔らかそうな、ふわふわパーマの髪の毛を揺らしている冬馬は、何も変わっていなかった。


ニコニコ笑顔の冬馬は、貞永とも挨拶を交わしている。



…ほら。やっぱり、二人を取り囲んでいる空気が、優しくなってるよ。




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