秘密の★オトナのお勉強②
それでも懐かしい気持ちになるのは、それ程あたしと蘭が一緒に居たという証拠で。
顔がニヤけるのを必死に抑えながら、あたしは菊池の方に視線を向けた。
「菊池、こちらは冬馬の担当女優の佐田蘭よ!今回の映画では、ヒロインの桃役を―――」
そんな、蘭を紹介する言葉は、菊池自身の声によって、掻き消された。
「蘭…」
「え…?」
今、はっきりと聞こえた。
菊池の口から、しっかりと、蘭の名前を呼ぶ声が。
…二人は、知り合い?
そんな疑問を持ちながら、蘭の表情を伺ってみると。
「かず…や…?」
やはりこちらも、菊池の事を知っていたようで。
だけど、何でだろう。
菊池と蘭、二人ともが複雑そうな、浮かない表情を浮かべていたのは。
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