秘密の★オトナのお勉強②
「じゃ、そろそろ帰るね」
「分かった。お互い頑張ろうね!」
バイバイという言葉の代わりに手を振ると、冬馬はピースサインをあたしの方へと向けて、静かに控え室を出て行った。
シーンと静まり返った控え室には、あたしの複雑な心の内しか残っていない。
―――冬馬の事を好きな蘭。
同じく、蘭の事を好きな冬馬。
そして…
蘭と何らかの繋がりがある、菊池。
パッと見れば、冬馬と蘭は両思いのはずなんだけど、今回はそうもいかない。
菊池の気持ちがまったく分からないし、何より、蘭が冬馬を避け始めているから、余計に複雑だ。
「みんなが幸せになる方法があればいいのに…」
あたし以外誰も存在しない控え室で、祈るように呟いた。
.