秘密の★オトナのお勉強②



「菊池…一人立ち出来るっていうのに、嬉しくないの?」



「え?」



「だって、帰り道の菊池沈んでたんだもん」




ふとこの話題を出した瞬間、菊池の動きが止まった。


何かよく分からない感情の渦が見え隠れしていて、菊池の心の中の葛藤が読み取れる。




「菊池…ごめ―――」



「俺、言いましたよね?“蘭のハジメテを奪ったのは、俺”だって」



「え…う、うん…」



「聞いてくれますか?―――俺の悔やんでも悔やみきれない、蘭との話を」




その言葉と共に次々と出て来る、知られざる菊池と蘭の過去に、あたしは耳を塞ぎたくなる衝動に何度も襲われる。



菊池から語られた真実は、

とても切なくて、胸が張り裂けそうだった。




.
< 245 / 412 >

この作品をシェア

pagetop