秘密の★オトナのお勉強②
「菊池…一人立ち出来るっていうのに、嬉しくないの?」
「え?」
「だって、帰り道の菊池沈んでたんだもん」
ふとこの話題を出した瞬間、菊池の動きが止まった。
何かよく分からない感情の渦が見え隠れしていて、菊池の心の中の葛藤が読み取れる。
「菊池…ごめ―――」
「俺、言いましたよね?“蘭のハジメテを奪ったのは、俺”だって」
「え…う、うん…」
「聞いてくれますか?―――俺の悔やんでも悔やみきれない、蘭との話を」
その言葉と共に次々と出て来る、知られざる菊池と蘭の過去に、あたしは耳を塞ぎたくなる衝動に何度も襲われる。
菊池から語られた真実は、
とても切なくて、胸が張り裂けそうだった。
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