秘密の★オトナのお勉強②
それからの蘭は、菊池を避け始めるようになった。
菊池が教室に来ると分かりきっている為、授業をサボるのはもちろん、学校に来ない日もあったらしい。
知らず知らずの間に、菊池は蘭を苦しめていた。
「その事に気が付いてから、俺は蘭の教室には行かなくなった。あんなに流れていた嬉しい噂も、“あの二人は別れた”という噂に変わった。―――俺達の関係は、あの日を機に、なかった事になったんです…」
そして、数ヵ月後。
蘭は今所属しているハッピードリームからスカウトを受け、芸能界デビューを果たした。
どんどん多忙になっていく蘭を、菊池は見ないフリをした。
現実から、目を逸らした。
「そんな日々が続いて、蘭は高校を卒業して芸能活動に専念、一年後、俺も高校を卒業して、大学に進学した。彼女は何度も作ったけど、どれも上手くは行きませんでした」
「それは…蘭がまだ好きだったから?」
ふと思った疑問。
それを菊池にぶつけてみると、彼の口から出てきたのは、予想外の言葉だった。
「残念ながら…違うんスよね」
.