秘密の★オトナのお勉強②



キリキリと痛み始めた胸を押さえながら、あたしは蘭の姿を見つめる。


興奮して周りが見えていない蘭は、呆然と立ち尽くすあたしを置いて、またどこかへと去っていってしまった。


一人きりになった廊下で、蘭の声がリピートされる。




―――「二股かけて、あゆはあたしの苦しむ姿を楽しんでいたのよね?」



「あゆと、友達になるんじゃなかった―――!!」―――




あたしは、蘭にそう思われていたの?



なんだかんだ言って、あたしは蘭が好きだった。


プライドが高かったり、女王様みたいで、何度もあたしを困らせてくれたけど。


でも、そんな気持ちを持っていたのは、あたしだけだったんだ。




「うぅーッ…!!」




ようやく悲しさが感情となって、あたしの目を覆いつくし始める。


ポロポロ…と止まる事を知らない涙は、あたしの心に深い傷があるという事を、改めて感じさせてくれた。




.
< 260 / 412 >

この作品をシェア

pagetop