秘密の★オトナのお勉強②



「あゆ」



「ん…?」




修羅場だと分かっていても、あたしの心地良い鼓動は、止まる事はなかった。


トクン…という心臓の音を聞きながら、あたしは貞永の問い掛けに応じる。



…だけど。

あたしの返答に対して、貞永の声は聞こえてこなくて。



不審に思ったあたしが、貞永の方を向こうとした時だった。


…小さなリップ音が、耳に届いたのは。




「事故だと分かってるけど、やっぱりあゆの唇を奪われた事は悔しいから、今ので消毒したからな」




そんな貞永の一言で、やっと理解した。


あのリップ音の正体は、貞永のキスだったのだ、と。




「…な、不意打ちナシだって!」



「それは俺の勝手だろ」




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