秘密の★オトナのお勉強②



「あゆと貞永くん?」



「ははは…こ、コンニチハ」




菊池に引きずられながら、あたし達は冬馬と蘭の前に姿を晒す。


貞永は演技クサイ笑顔を貼り付けて、冬馬と蘭に挨拶を始める始末。


…この状況、一体何だろう。




「さ、中森サン、張り切って行ってらっしゃい」



「張り切ってって、菊―――」




菊池に文句を言い切る前に、あたしは背中を強く押され、身体が前へと出て行ってしまう。


「ぎゃぁ…!」という女のカケラもない叫び声を上げながら、あたしは恐る恐る現実を把握しようと、顔を上げた。




「あゆ…」



「ら、蘭…」




運が悪いのかいいのか。


あたしが立っている場所は、ちょうど蘭の目の前のグッドポジションだった。




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