黒猫

いつも笑ってたな、心配かけるんが嫌やって言うてた。

俺はそれにも気付かず、安心してほったらかしてたんや。

アホみたいに好き勝手して…

陰で泣かせてたって知ったんは、"別れよう"の言葉の後やった。

連れて帰った一人の部屋。

君と別れてから、人の来ない、片付ける人のいないこの部屋は散らかり放題。

別れた時に返してもらった合鍵は、行く場を失って下駄箱の上。

汚れるんも気にせず、ベッドの上に猫をそっとおろす。


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