黒猫

囁くように
震えるこの声。

自分の声やないみたいに、
掠れて
消えてく。

昔の君に
俺を好きでいてくれた頃の君に

なんとなく似てる
真っ直ぐな瞳、
真っ黒な毛並み。

見上げてくる腕の中の黒猫は、
俺を必要と思ってる?

「…好きやった。凄く、好きで………愛しててん。」

ほんまに
ほんまに

愛してた。

…愛してる。

笑えるやろ?
なぁ、君に似た黒猫。

今更やんな。

泣けるやろ?
俺に似た黒猫。

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