愛しい君へ


・・・・
どれくらい眠っただろう。
ふと目が覚める。
視界がぼやけてる。
・・ここはどこだろう・・・。
「はッ・・・」
起き上がろうとしても体に力が入らない。
今・・何時だろう・・・。
誰か近くに居る気がする・・・。
「あの・・・」
声は微かだが出るようだ。
「ん?あ、目ぇ覚めた?一応熱測るね」
そう言って体温計を渡される。
その人は結城兄ちゃんだった。
「結城兄ちゃん・・・なんで・・?」
「ん。ちょぃ不安だったヵらさ。予定より早く終わったから急いで帰ったら階段で梨李が倒れてて。顔真っ赤やで熱測ったら高熱で驚いたよ。一応今日ゎ龍哉君のとこ行くのやめとき?」
「・・・龍哉君・・・?」
何処かで聞いたことのある名前だけど覚えていない。
「兄ちゃん・・龍哉君って誰・・・?」
「・・は?ちょ、嘘やろ?龍哉君だよ!梨李の彼氏!」
「あたし・・彼氏居ないよ・・・?」
「熱は!? ・・・ない・・・。お前・・まさか・・? 病院行くぞ。バイクしヵねぇヵら暖かい格好してけな」
いろいろ着させられ逆に熱が上がりそう。

病院に着いて脳検査を受けた。
どこも異常なし。
「ぅん、部分的な記憶喪失だね。いきなり高熱出たんだろう?」
「はい。俺が帰ったら階段で倒れてて。数時間眠ったままだったんです」
「ぢゃあ部分的な記憶喪失が起こっても不思議ぢゃない。まあ焦らずに待ってたほうが思い出す可能性は高いよ」
そう言ってあたし達は診察室を出た。

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