愛しい君へ


「・・痛い・・・」
考えれば考えるほど頭がずきずきする・・・。
「梨李、焦んなよ。ゆっくり思い出せ。 龍哉君、それまで待っててくれるよな?こいつを・・1人にしないでやってくれ・・・」
結城兄ちゃんは優しく抱き締めてくれた。
「ぢゃあ今日は帰るよ。慎耶、龍哉君のこと頼むヵらな」
「あ、はい」
ぢゃあ。結城兄ちゃんとあたしは出て行こうとした。
「あの!ッ」
慎耶が止める。
「どした?」
「ぇっと・・。俺がこれ言う口ぢゃねぇヶド・・・。怜さんを好きになってくれてありがとう」
それはまるで・・怜さんが言ってるように見えて・・。
とても綺麗な感じがしたんだ・・・。
「・・・」
結城兄ちゃんは無言のまま出て行く。
あたしもそれに着いて行った。

「結城兄ちゃん・・・?」
あたしはまたバイクの後ろに乗せられて家へ向かう。はず。
でもこの道は遠回りの道。
この道は・・・?
ふとバイクが止まった。
そこは・・玲奈さんが亡くなったあの交差点。
「俺・・勘違いしてたんかな・・・」
ふとバイクを止めて結城兄ちゃんが呟く。
「ぇ・・?」
「怜は・・俺を避けてると思ってた・・。俺の気持ちが大きすぎて・・迷惑ヵと思ってた・・」
あたしは黙ってそれを聞く。

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