愛しい君へ
記憶
「梨李?どうした?」
その人は心配そうに顔を見る。
「こっちおいで?」
あたしの腕を引っ張る。
その体温は何処かで感じた体温と同じ。
ふと蘇る思い出。
「やっほ-★」
あたしは誰かの病室のドアを開ける。
「あ、梨李やっと来た。・・めっちゃ待ってたよ」
慎耶と実美が居る。そしてベッドにも誰かが居る。
「ごめん-。兄ちゃん達がさぁ・・」
あたしはそのベッドに近付く。
「梨李、好きだ」
そう言ってキスをされる。
「・・大胆~♪」
「・・はこういう奴だヵらな」
「うっせ!」
あたしとその人は耳まで真っ赤だった。
そこで記憶は途切れた。
何・・今の記憶は・・。
すごく楽しそう・・。
あたし・・すごく幸せそう・・・。
ふと顔を上げると心配そうに見つめてる。
誰・・・?
太陽を背にしてる人の顔。
記憶の中でキスをした人の顔。
目の前に居る人の顔。
全てが一致した。
「梨・・・」
「・・龍哉・・・?」
自分でも分からないけど急に出た名前。
「梨李・・お前・・?」
「龍哉・・なの・・・?」
「ぉ・・ぉぉ・・・」