愛しい君へ
龍哉はすごく戸惑ってる。
「良かった・・」
「ごめんね・・・?」
「もう離さねぇヵらな・・」
そう言って龍哉はあたしのおでこにキスを落とす。
龍哉・・ごめんね・・・。
あたし・・龍哉のことだけを想ってて・・
でも・・ふいに忘れることってあるんだ・・・。
目の前にいるのは、本物の龍哉だ・・。
「はいは-い。俺の前でそゆことすんなよ」
結城兄ちゃんは背中を向けている。
「あ、ごめん」
「すみません・・・」
「まあしょうがねぇけど。んぢゃ俺、バイトあっから行くわ。梨李、帰る時は呼べよ。龍哉君、梨李のことよろしくな」
そう言って兄ちゃんは出て行った。
やっぱり兄ちゃんは優しい。
「梨李」
「ぅん?」
急に龍哉があたしを抱き締める。
「龍哉・・?」
「もし俺が死んでも・・お前は俺だけの彼女でいてほしい・・」
「ぇ・・?」
龍哉は何を言ってるの?
「俺が意識なくなる前に慎耶と話したって慎耶から聞いたか?」
「ぅん・・・」
「俺・・梨李が居なくなるのが1番怖くて・・。お前は俺だけの人で居て欲しい・・」
だヵらって龍哉は死なないよね?
あたしの目の前ヵら消えないよね?
絶対・・居なくならないでよ・・・?
あたしも居なくならないから・・。
でも声にはならなくて・・。
ただ抱き締められるだけだった・・。