愛しい君へ


コンコン
ノックが聞こえた。
「はい」
「石橋さん-。検査ですよ-」
看護婦が入ってきた。
「わる。今から検査ゃヵら待っとれるか?」
「ぅん!行ってらっしゃい!」
「ぉぅ」
龍哉はあたしにキスをして、検査に向かった。

コンコン
龍哉が検査に行ってヵら5分後にノック音が聞こえた。
返事していいか迷ったあげく・・。
「はい・・・」
返事した。
「龍哉-。どうだ-? って梨李ちゃん!?」
入ってきたのは奈津さんだった。
「あ、お久しぶりですッ」
「ぃぃょ、座ってて。 龍哉は?」
「検査行きました!多分すぐ戻ると思いますけど・・」
「ありがと。 ところで梨李ちゃん、今日学校は?」
奈津さんは鞄を置いて、龍哉が居たベッドに座る。
「サボりました。ちょっと最近学校行ってないヵら気まずくて・・」
ほんとは龍哉に逢いたかった。なんて口が滑っても言えないことだが。
「そっかぁ・・。昔のあたしと一緒なんだなぁ」
遠くを見るような目で言う奈津さん。
「昔の・・? 何が・・あったんですか・・?」
失礼だとは承知のうえで聞いてみた。

「あたしね、ちょうど・・梨李ちゃんと同じくらいのときに大好きな彼居たの。龍哉も弟のように慕われてて。すごく幸せな毎日で。でも・・・春に・・彼が・・ベランダヵら転落して・・。植物状態になったの・・。話しかけても・・手握っても握り返してくれなくて・・。んで・・入院してヵら1ヵ月後に・・」
その続きは聞かなくても分かった・・。
奈津さんは・・すごく明るくて・・すごい羨ましかった・・・。
そんなすごいこと抱え込んでたなんて思いもしなかった・・。


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