愛しい君へ


家に帰る途中、いろんなカップルを見た。
手を繋いで嬉しそうに笑うカップル。
腕を組んで歩くカップル。
さまざまなカップルが居る。
どの人もすごく嬉しそうな顔をしてる。
まさに生き生きとしてる。
あたしもこんなカップルになりたいとすごく望んだ。
いつかは結婚して、子供産んで、みんなで楽しく過ごして・・・。
そんな夢を見ていながら家に向かった。

「ただぃま~」
「梨李!電話してくれりゃ迎えに行ったのに!」
結城兄ちゃんが玄関に迎えに来た。
「ぃぃょ~。ほら、中入ろ」
結城兄ちゃんの背中を押しながらリビングへ向かう。
ソファに座って一息。
「はい、ココア」
「ありがと」
ココアを受け取り一口飲む。
「ふう・・・。  ね、お母さん達ってどんな夫婦だった?」
「お袋達~?ぅ-ん。仲が良かった。俺等の前ぢゃ喧嘩1回もしたことねぇな」
兄ちゃんは自分のココアを飲みながら言う。
「ふ~ん・・・」
「なんで?」
「ぃぁ-どんな夫婦だったんヵな-って・・・」
「近所の人らも羨ましがってたしダチもいいなって言ってたヵな。多分今もし生きてても昔と変わらないと思う。二人とも本当に愛し合ってたヵら」

『愛し合ってたヵら』
そうか・・。愛し合ってるって喧嘩しないんだ・・・。
お母さん達は幸せだったのかな・・・。
お母さん達は・・あたしを産んで後悔してないのかな・・・。
やっぱりさっき龍哉に言っておけばよかった・・。
龍哉を愛してるって・・。
なんか今日の龍哉、変だった・・・。
なんヵ・・すごい悲しそうで寂しそうで・・・。

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