愛しい君へ
『はい・・・』
目をこすりながら出てみた。
『梨李!? 生きてる!?』
龍哉の声だった。
『生きてる・・・。寝てた・・・』
『寝てた!? 寝すぎだわ!』
朝から怒られた・・・。
『すみません・・・』
『自分の家?』
『実美の家です・・・はい・・・』
『泊まった?』
『はい・・・』
『通りで電話が繋がらないわけか・・・』
『いつから電話してくれた・・・?』
『ん-11時くらいからかな。全然出ないから
なんかあったかと思って心配してた』
すみません・・・。
『ごめんなさい・・・』
『ほんと何もない?』
『何もありません・・・。はい・・・』
『良かった・・・』
いつもの優しい声だった。
『心配してた・・・?』
『当たり前だろッ!大事な彼女だろ』
『・・・』
大事な彼女。
頭の中でこだました。
『梨李?』
『ぇ、あ、なんもッ』
『ごめん。今から遊んでくるでまた夜な』
『わかった-。気をつけてね』
そう言って電話を切った。