愛しい君へ


実美の家に泊まった日から1週間経ったある日。
最近朝早くに学校へ行く。
いつも龍哉に逢うために。
でもこの日は違った。
いや、『この日から』だった。

やっぱり今日も1番だった。
「眠い・・・」
「梨李-♪」
実美も一緒だった。
「今日も石橋君に逢えるね☆」
「そおだね-」
内心かなり楽しみ。
しかし、来なかった。
続々と友達が来るのに龍哉は来なかった。
いつも龍哉と一緒に来てる男子は居るのに
全然龍哉は来てくれない。
「梨李、石橋君のクラス行くよ」
実美は気付いてくれてた。
実美と一緒に龍哉のクラスへ行く。
そこで見たのは・・・

「石橋君変-!」
「お前が変なんだろ?」
「ひどぉい☆」

龍哉が他の女子と楽しげに笑い合ってる姿だった。
「龍・・・哉・・・?」
「ちょっ!梨李!待ってよ!」
あたしは知らない間に走り出していた。
見たくなかったから。
龍哉が離れて行くようで。
別れが近い気がして。
屋上まで無我夢中で走った。

バンッ!

誰も居ない静かな屋上。
3月の風が暖かい。



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