愛しい君へ


「俺・・それ誰にも言えなくて・・。龍哉にも言えなかった・・・。迷惑かけたくなくて・・。でも鈴奈は・・俺のこと言ってたらしいんだ・・・」
「慎耶・・・もう何も言わなくていいよ・・・」
「だヵら梨李は・・・後悔して欲しくないんだ・・・」
慎耶・・・それが言いたくてあたしをココに・・・?
「梨李・・・お前・・鈴奈に似てんだ・・・」
あたしが鈴奈さんに・・・?
「梨李・・・頼む・・・。後悔だけはするな・・・」
慎耶が泣いたのを初めて見た。
初めて逢った時軽そうな男だと思ってた。
こんな奴が龍哉と友達だなんてありえないと思った。
でも・・・
実際こんなに苦しんでたなんて思わなかった・・・。
実美は・・・気付いてたんだ・・・。
だヵら実美は慎耶を・・・?

「慎耶・・・あたしね・・今まで本気の恋なんて知らなかったんだ・・」
知ってるだろうけどね・・・。
慎耶は無言で頷く。
「適当に告られて付き合った・・・。1週間しヵ持たなかった・・。でも・・・龍哉と出逢って気付いたんだ・・。今まで付き合ってた囚は・・その囚が愛しくて・・でも苦しくて・・・。そんな想いをしてたんヵなって・・・」

他の囚と話してるとこを見るとモヤモヤして何話してるか気になって
早く離れてほしい。見たくなかった。
今何してるかな。どんなことして笑ってるヵな。
泣いてるかな。怒ってるかな。悩んでるかな。笑ってるかな。
どんな些細なことでも嬉しくなって悲しくなる。

「慎耶・・・あたし・・・もう逃げないよ。前見て・・・歩いてく」
あたしの固い決意だった。
慎耶はそれを見て頷いた。涙を拭いて、
「よし。行こう、龍哉のとこへ!」
「ぅん!」
あたしは力強く頷いて慎耶と一緒に走り出した。

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