愛しい君へ


「実美!」
病室に居た実美を呼んだ。
「梨李!慎耶!?」
龍哉の姿が何処にもない。
不安になって実美に聞く。
「龍哉は!?」
「検査行ったよ。多分すぐ戻ると思う」
実美が言った通り、すぐに戻ってきた。
「梨李・・・なんで・・・?」
龍哉は驚いてる。
「あたし、龍哉に言わなきゃいけないことがあるんだ」
あたしは少し間を置いて話した。
「あたしね、龍哉に出逢って気付いたんだ。今まで付き合ってた囚には悪いことしたなって。何も思ってないのに付き合って勝手な理由で別れて。今までは飽きたヵら別れてきた。でもね、龍哉と出逢って分かったんだ。相手のことを考えて別れるってことも有りだってね。身勝手な理由でフるのも有りだけど、相手を大切に想うなら別れるって決断も仕方ないって。・・・分かんないよね」
自分でも言ってる意味が分からなくなった。
「・・ぢゃぁ、それだけだヵら」
下を向いたまま出て行こうと思った。

「―――なんでこんなに好きになったんだろうな」
龍哉の声だった。
振り返ると龍哉が微笑んでいた。
「好きだヵら手放したんぢゃない。不安だったんだ。クラスの奴等がお前を可愛いって言ってた。狙おっかなって言ってた。ぃっ他の奴のとこに行ってもおかしくなかった。そんなとこ、俺見たくないヵら・・・。傷付く前に別れた・・。それが逆に傷つけてたんだよな」
龍哉・・・?
「ぉぃ、梨李」
「なに?」
「また俺と・・・付き合わねぇか?」
ずっと望んでいたこと。
龍哉が起きたら聞こうと思ってたこと。

『今もあたしのこと好き?』

そんなこと聞く必要なかった。
お互い同じ気持ちだったんだ。

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