愛しい君へ


「今・・・なんてった・・・?」
「だヵら-!カッコいいっての! なあ、龍哉!」
「あぁ! カッコいいぞ! なんヵ生き生きしてる!」
は・・・初めて言われた・・・。
「梨李兄弟居るの?」
慎耶が聞く。
「ぇ、一応上に兄が2人居るけど・・・」
「何歳?」
「高3が2人・・・。双子だヵらさ。でも・・結城兄ちゃんは家を飛び出して。帰ってこなくなっちゃった。高校もあんま行ってないみたいだし」

それにあたし達には親が居ない。
あたしが小学校の時、交通事故で命を落とした。
それ以来、結城兄ちゃんは帰ってこなかった。
あたしには【死】というのがいまいちで
知ったときはなんで兄ちゃん達が泣いてるのか
分からなかった。

『梨李、いい?これヵらは唯と一緒に過ごすんだ』
いきなり結城兄ちゃんに言われたことがある。
『なんで?結城兄ちゃんは?』
あたしの素朴な質問に結城兄ちゃんは、
『俺?ちょっとな。すぐ帰れるよ』
結城兄ちゃんは優しく頭を撫でる
『唯と一緒に待っててられるか?』
『ぅん!』
あたしは何も考えずに返事をした。
とても優しく大きな手だった。
でも顔はいまいち覚えてなかった。

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