愛しい君へ
それヵら壊れ始めた。
男で心の隙間埋め合わせようとした。
【家族】という言葉を心から消したくて。
でも、簡単には消えなかった。
いや、消えるはずもなかった。
家族なんて、男で埋まらなかった。
きっとあたしの心が拒絶反応を起こしたんだ。
都合のいい心だね。
忘れたいのに、忘れさせてくれない。
孤独を消し去ってくれない。
「梨李・・・?」
ふと龍哉の声が入ってきた。
「ぇ?」
我に返った。
みんな不安気にあたしを見ていた。
「なんヵ思い詰めた顔して・・・。どおかした?」
実美が聞いてくる。
「ぃぁ、なんでもないよ」
あたしは笑顔を見せた。
「俺の親も、死んだ」
慎耶がふと言い出した。
「ぇ・・・?」
「俺が小さい時に首吊って。自殺だった。理由なんヵ知らねぇヶド。俺一人っ子で、兄弟なんヵ1人も居なくて。だヵら叔父の家に引き取られた。でも中学ヵら叔父の家飛び出して。一人で暮らした。そんなときに鈴奈に逢った。初めて囚の優しさに触れた。だヵら惹かれたのヵもな」
「慎耶・・・」
龍哉はツラそうな顔をした。
きっと知ってたんだと思う。
「でも俺、親には感謝してる」
意外な言葉だった。
「親があんなことんならなかったら。叔父の家に引き取られなかったら。1人で暮らさなかったら。俺はきっと鈴奈に逢わなかった。そしてお前らに逢えなかった。そお思えば俺は、こうなったことを後悔してない」
慎耶は満面の笑みを浮かべた。うっすら目に涙を溜めて。