愛しい君へ


「ばかか、お前。何カッコいいこと言ってんだよ」
龍哉に頭を叩かれる慎耶。
「いってぇ!いい雰囲気壊すなよ!」
「うるさいわ!俺はこおゆうしんみりした空気が苦手なんだ!」
龍哉は案外我慢が出来ない囚らしい。
「早く慎耶は帰れ!」
「んだよ、その言い方!」
「喧嘩しないの、二人とも!」
あたは必死に二人を止めるヶド実美は笑ってる。
「実美も手伝ってよ!」
「梨李、耳貸して」
そう言われて実美の近くへ行く。
「石橋君のほっぺにキスしてみ★」
小声で言われた。
あたしは一気に顔が赤くなる。
「む・・無理だよッ!」
あたしもつい小声になる。
「石橋君やってくれたでしょ?口は恥ずかしいだろうからほっぺに『ちゅっ』って」
実美は楽しそうに言う。
「ほらっ、行ってらっしゃい♪」
あたしの背中をぽんっと押す。

喉が渇いたのが自分でも分かった。
鼓動が速くなってる。
二人に一歩近付く。
「早く帰れ!」
「俺はまだここに残る!」
覚悟は決めた。
「龍哉ッ」
「んだよ!」

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