愛しい君へ


「梨李?」
「ぃぁ」
「んで?彼氏はどんな奴?」
・・・気になるんだ・・・。
「さあ?」
「兄貴に言えないことか?」
またクスクスと笑い始めた。
「分かった、分かった・・・」
「よろしい」
結城兄ちゃんはソファに座ってるあたしの横に座った。
「ん-・・とにかく優しくて・・。身長もあたしより大きくて声も大人っぽくて・・。でも無愛想にして・・すごく不器用で傷付けたくないのに余計傷付けちゃってて、無口でクールでスポーツ万能かな」
「ふーん。 梨李は本当に彼氏が大好きなんだな」
図星だった。
「なんで!?」
「ん-? 梨李の顔が生き生きしてるから」
たしヵに・・龍哉と出会ってから変わったと思う・・・。初めて囚を大好きになって・・愛しいと思えた・・。
「梨李、変わったな」
不意に結城兄ちゃんに頭を撫でられた。
この手が小さい頃は大好きだった。そして今も変わらず、この手が大好きだ。
「そりゃ高校生だもんッ」
「そうだな。でも・・なんか変わったな」
まあ色々とあったもん。大人になったかなぁ?

ピロリン♪
結城兄ちゃんの携帯が鳴った。
「誰から? 彼女さんから?」
わざと言ってみた。
「ば-か。唯だわ。ん」
携帯を見せられた。

『梨李のばか、携帯の電源切ってあって連絡つかん。今一緒に居るか?』

あ、やっべ-・・・。
携帯の電源切ったんだっけ・・。
電源を入れた途端、唯兄から電話がかかってきた。

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