愛しい君へ


遠くで誰かが叫んでる。
「梨李・・・!」
目を開けると龍哉が居た。
なんで・・・?
声が出ない。
龍哉が言う。
「梨李、ごめんな。別れよう」
ぇ・・・?
なんで・・・?
「他に好きな奴できた。俺のことは早く忘れろ」
そう言って立ち去ってしまう。
どんどん遠くなる。
走りたくても体が動かない。
やっとの思いで動けたと思ったら見失ってしまった。
龍哉・・・嘘でしょ・・・?
ねぇ・・・
「・・・龍哉ッ!!」
飛び起きた。
体中汗だく。
呼吸が激しく乱れる。
あたりを見回すと自分の部屋だった。
夢だったんだ・・・。

「梨李・・・?」
声がした。
目にうつったのはびっくりした結城兄ちゃんの姿だった。
「大丈夫か・・・?」
不安そうに聞く。
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしただけだから」
布団から出て、時計を見る。
朝の10時。
いつもなら12時まで寝てられるのに
今日は目覚めの悪い朝となった。

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