ミステリアスな3人組
出逢い
「ねー悠っ?この前貸したCDいつ返してくれるのよっ?もぅ2週間はたってるんですけどー?」
「……あぁ…悪ぃ」
そうやって二人が話すたびに、周囲から聞こえてくるのはひそひそと話す声。
『…何?あれ』
『幼なじみらしーよ?家も近くて』
『高見もよくやるよなーっ、あいつ相手に』
『俺には無理だわー』
『なんかあいつとっつきにくいんだよねー』
『分かる分かる』
「…おーい、お前ら席着けー!!」
そんな不穏な空気を打ち破ったのは担任の大声だった。
「…やばっ、わたし自分のクラス戻るねー!じゃあまたっ、悠」
ありすはぱたぱたと教室を出ていく。
「ん」
特に大した返事もしない。
これもいたって普通。
いつも通り。
でも…
「今日はうちのクラスに転校生が…」
そんな担任の声に、
「…」
いつもはよっぽどのことがなければ担任の方なんて見向きもしない悠がすっ、と何気なく視線を上げたのは…
きっと、偶然じゃなかったんだろう。