バニラ
『週末のこんな時間に
一人なんだ?』
………しまった。
無神経な言葉は
放ってしまってから後悔したが、遅かった。
相手がいないと勝手に思い込んでかかってたから
軽い牽制のつもりだったのに。
彼女の顔を
曇らせてしまった。
しばらく考えた後、
小さく息を吐いて口を開く。
『…今日ね、
ほんとは約束あったんだけど。
どたキャン。』
言い切って彼女はえへへと笑った。
今にも泣きだしそうな笑顔で
一瞬、俺の目を見て
すぐに逸らした。