天然少女の憂鬱
 


「それじゃあ行っておいで」


暴走族のましてや幹部だなんて微塵も感じさせないようにニコッと笑って翔さんが言った。


「え?何処にですか?」



そう瑠香と翔さんに聞くと、瑠香が案内してくれた。


「こっちだよ。」



そう言って廊下みたいなところを歩いていって、一つの扉の前で止まった。



「さ、入った入った。」


そう言う翔さんに連れられて訳も分からないまま部屋の中に入れられてしまった。






バタンッ―――


思わず閉まってしまった扉を見つめる。



「おい」


ビクッ

ふと、誰かが低すぎず丁度良いテノールの声で言った。


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