先生にキス〈5〉

「柊平!」


私は、自然に柊平の名前を呼んでいた。


雨の音に負けないように、大きな声で、何回も。


柊平に気付いてもらえるように。


「…幸歩?」


私の声が届いたのか、柊平の声はだんだんと、こちらに近付いてくる。


そして私の視界に、走ってくる柊平の姿が映るようになり、あっという間に大きくなった。




「幸歩…」


気付けば、柊平は傘をさして…、荒い呼吸を繰り返しながら橋のたもとまで来ていた。



< 193 / 336 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop