先生にキス〈5〉

「………っ…」


たくさん泣いたはずなのに、また涙が溢れて頬をつたっていく。


浅い呼吸を繰り返しながら、私は柊平のセーターをギュッと握って泣いていた。


柊平は、そんな私の背中をさすりながら、しばらく何も言わずに抱きしめ続けていた。


その温かさに、さっきまでの悲しい気持ちが次第に落ち着いていく。


私は……
目を閉じて、そのまま意識を手放してしまった。



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