先生にキス〈5〉

あの時のことがパッと頭の中に蘇る。


小刻みに震える手を柊平は強く握りながら、私を見つめた。


「今日、音楽準備室に来たんだ…、その女子生徒。手紙のことが気になったらしくてさ…。俺、つい声を荒げちまった…。」


柊平は苦笑いを浮かべた。

いつも生徒に対して、穏やかで優しく接する柊平が声を荒げたなんて…


あまりにもピンとこなくて、驚いてしまった。



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