先生にキス〈5〉

「柊平…、ありがとう。」

先に起きて、着替えを始めた柊平の背中に向かって、こっそり呟く。


気付かれないくらい小さな声で言ったつもりだったけど、柊平は私の方に振り向いた。


「今、“ありがとう”って言った?」


「うん……。なんで分かったの?絶対に聞こえないって思ってたのに…。」


そう聞くと、柊平は真っ白なワイシャツを羽織りながら、ベッド脇にしゃがんだ。


「だって、俺と幸歩は…ここが繋がってるからな…。」


私の胸元をツンと指で突いた柊平は、穏やかに微笑んでいた。



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