先生にキス〈5〉
私が有名だったなんて…何かの間違いだよ、絶対。
単なる普通の転校生だったもん…。
「まあ、そんな少し鈍いところも幸歩の可愛さの一つだよね。綾月先生からしたら、ヒヤヒヤすることもあったのかもしれないけど…。」
「えっ…?」
首を傾げる私に、梗子は微笑んだ。
「でも、何はともあれ、こうして二人は結ばれたんだし…明日は結婚式だもんね…!本当に良かった…。私、凄く幸せな気持ちでいっぱいだよ!」
「梗子……」
「さてと、私も帰って準備しなくちゃ…!幸歩も色々と忙しいだろうし、これで帰るね!明日…式場で会おうね…。」
「わざわざ、来てくれてありがとう…。とても嬉しかったよ…。」
笑顔で手を振って帰っていく梗子に、私も手を振った。
もちろん、とびきりの笑顔で…。
ほんの少しだけしか話は出来なかったけど、会えて嬉しかったな…。
高校の頃に…戻ったみたいだった…。
懐かしさを感じながら、私は温かい気持ちでいっぱいになっていた。