先生にキス〈5〉
「えっ!?」
驚いた私は、握られた手と宇堂さんの顔を交互に見た。
な、なんなの…?
どういうこと…??
訳が分からず固まっていると、宇堂さんは私の手を引いて歩き始めた。
「ちょ、ちょっと…宇堂さんっ!?私、ここで待ち合わせしてるんです。だから離して下さ…」
「離さない。」
「えっ…?」
目を見開く私に宇堂さんはフッと口元を緩めて笑った。
「せっかく幸歩に会ったことだし、旦那もいないなら…二人の時間を少しだけ俺が邪魔させてもらおうかな。」
「な、何言ってるんですかっ!宇堂さん!?」
手を振りほどこうとしても、宇堂さんにしっかりと握られているため、どうすることも出来ず…
私は、柊平との待ち合わせ場所だった時計の下から、連れ出されてしまった。