片隅に沈む心
第五章 少女の心

 萩島瑠子と杉島孝久が出会う7年前。


 萩島瑠子は病院のベッドに寝ていた。

「あたしはいつも独りぼっち」

 ──寂しい。

「死ぬまでここにいるのかな?」

 ──苦しい。

「ならさっさと死ねばいいのに、こんな身体」

 ──でも、死にたくない。

 それは矛盾するけど、萩島瑠子の心であった。


 病名は知らされていない。

 だけど、定期的に苦しい思いをすることをお医者さんに教えてもらった。

 瑠子がすれば良いのは我慢すること。

 
 瑠子が我慢できれば、大丈夫なのだ。
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