リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・5
どきっと心臓が高鳴りました。

「いっいえ、何も聞いていません」

頭と両手を振ると、先輩はフッと笑いました。

「そうか、なら良いんだ」

いつもの笑顔で、先輩は今度こそ生徒会室を出て行きました。

「ふう…」

本当はウソはいけないことだけど…正直に、あの寝言のことを言う気にはなれませんでした。

先輩はあの時、確かに、

「…好きだ」

と言いました。

それはつまり…先輩には好きな人がいるということです。

…胸が苦しい。

ぎゅうっとして、息ができない…。

わたしは一人、生徒会室で声を押し殺して泣きました。
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