きいろいアヒル
「そっかー。旅行とか行かないの?」
「うん。特に予定はないよ」
旅行……旅行。
去年は、東京へ行っていた。
あの人のもとへ。
今年は、それができなくなった。
会えなくなった。
会えなくなった。
「……花村さんは、どこか行くの?」
花村さんは、大きな瞳をくるんと回して答えた。
「カナダに行くんだ。家族で」
「カ、カナダ。すごい」
「すごくないわよ。両親についていくだけよ」
「でも、海外かぁ」
「うん。実は結構行ってる」
「へえ」
「アメリカ、韓国、オーストラリア……」
彼女が言うと、嫌味にも聞こえない。
「いいねー。カナダ行って何するの?」
「森林浴したいなって思ってる。あと、鏡のような湖にカヌー浮かべたりして」
「ふむふむ」
「私ね、世界中色んなところ旅して、おばあちゃんになったら、一番気に入った国で生涯を終えたいんだ」
「うん。特に予定はないよ」
旅行……旅行。
去年は、東京へ行っていた。
あの人のもとへ。
今年は、それができなくなった。
会えなくなった。
会えなくなった。
「……花村さんは、どこか行くの?」
花村さんは、大きな瞳をくるんと回して答えた。
「カナダに行くんだ。家族で」
「カ、カナダ。すごい」
「すごくないわよ。両親についていくだけよ」
「でも、海外かぁ」
「うん。実は結構行ってる」
「へえ」
「アメリカ、韓国、オーストラリア……」
彼女が言うと、嫌味にも聞こえない。
「いいねー。カナダ行って何するの?」
「森林浴したいなって思ってる。あと、鏡のような湖にカヌー浮かべたりして」
「ふむふむ」
「私ね、世界中色んなところ旅して、おばあちゃんになったら、一番気に入った国で生涯を終えたいんだ」