きいろいアヒル
沢原くんは、口をもぐもぐと動かしながら、私を見、口の中のものをごっくんしてから口を開いた。



「あのさ、香田さん」



「は、はい?」



「今日から、一週間、よろしく」



彼はそう言って、お箸を持ったまま親指を立てて見せた。



「……は、はっ?」



い、一週間よろしく?



何が?



「そうだよな、嫌だよな、そりゃ。ごめんよ」



いつもの明るい口調で彼は言った。潤いのある澄んだ彼の目をじっと見つめてしまった。



ち、ちょっと待って。



話が見えない。



よろしく、って……?



「何の話だっけ?」



私は小首を傾げて尋ねた。
< 14 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop