きいろいアヒル
「……まったく……。ね。さて、やろうか。よろしくお願いします」



沢原くんはそう言うと、ガタガタと机を持ち上げて、私の机にぴったりとくっつけた。



「じゃあ……何からやる?」


エラぶるのは嫌だったから、あくまでも沢原くんのペースに合わせようと思ってそう言 った。



……それにしても、沢原くん、私に接近しすぎ☆



何もこんなにぴったり机をくっつけなくてもいいのに。



彼のさわやかなシャンプーの匂いが鼻をくすぐって、何だか私をドキドキさせる。



それを知ってか知らずカ、彼はにんにんにこにこ笑顔を向けた。



「やっぱ、スタンダードからでしょ。何事も基本が大事、ってことで」



沢原くんはそう言うと、また、にこっと笑って。



「基本中の基本。まずは、先生のことから教えて」



「え?」



「俺、香田さんのこと全然知らないし。まずは、仲良くなろ。それが今日のお勉強」



「何言ってるの。再試験落ちたら、留年かもしれないんだよ」
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