きいろいアヒル
5.Ryo
昼間は、席が隣同士だからといって、特に会話を交わすことなく。
今までのワタシタチだった。
沢原くんは沢原くんで、色んなひとに取り囲まれていたし。
私は私で、そっと教室の隅にたたずんでいたし。
それでも、放課後のふたりきりはやってきた。
帰りのショートホームルームが終わって。
沢原くんは、他の部活に出るでもなく、頬杖をつきながら自分の席に座っていた。
私も私で、本を読みながら自分の席に座っていて。
とにかく、クラスの皆がいなくなるのを、待っていたんだ。
周り、うるさそうだし。
……なんとなく。平静を装っていた。
そして、最後に日直の子が、戸締りを確認し、私に、「帰る時は、電気消してって」と言い残し、教室を出て行った。
沢原くんは、黙ってまた机をくっつけてきた。
「今日もよろしく」と言いながら。そして言葉を続けた。
「さて。今日はここから教えて」
沢原くんは、パラパラと教科書をめくって、開いて見せた。
今までのワタシタチだった。
沢原くんは沢原くんで、色んなひとに取り囲まれていたし。
私は私で、そっと教室の隅にたたずんでいたし。
それでも、放課後のふたりきりはやってきた。
帰りのショートホームルームが終わって。
沢原くんは、他の部活に出るでもなく、頬杖をつきながら自分の席に座っていた。
私も私で、本を読みながら自分の席に座っていて。
とにかく、クラスの皆がいなくなるのを、待っていたんだ。
周り、うるさそうだし。
……なんとなく。平静を装っていた。
そして、最後に日直の子が、戸締りを確認し、私に、「帰る時は、電気消してって」と言い残し、教室を出て行った。
沢原くんは、黙ってまた机をくっつけてきた。
「今日もよろしく」と言いながら。そして言葉を続けた。
「さて。今日はここから教えて」
沢原くんは、パラパラと教科書をめくって、開いて見せた。