きいろいアヒル
私、香田千尋。



公立高校に通う、二年生。


平々凡々な高校生。



これと言ってオシャレにも興味ないし。



同じクラスの子みたく、校則破ってまでマニキュア塗ったり、香水つけたり、お化粧したり、髪の色を抜いたりなんてこと全くしていない。



黒くて真っ直ぐな髪は肩まで伸びた。



制服のスカートだって、膝丈までちゃんと伸ばしてる。



ソックスだって、学生用の白い普通のものだ。



部活は、何も入っていない。



運動だってできるほどじゃないし、ましてや文化的才能も興味もない。



ただ、勉強は好き。



知識を深めるのって、面白い。



そういうところは、ちょっと変わってるかしら? 



「まったく。ちゃんと勉強しているのか、お前らはっ!」



“鬼”の言葉に、沢原くんの周りにたむろしていた男子たちも、あちこち答案を見せ合いっこしていた女子たちも、そそくさと自分の席に戻った。



生徒を、“お前ら”って、よく言えたもんだ。



「――平均点52点とは、一体なんだ!」



それは、鬼のテストの作り方にも、問題があると思う……。



それでも、鬼の罵声はとどまることを知らない。
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