きいろいアヒル
私は帰宅し、部屋のドアを閉めて、ほっと息を吐いた。



制服から部屋着に着替え、ハンガーに制服をかけた。


……胸ポッケから、アヒルちゃんがのぞいてる。



キョロッとした目。



ブー垂れた口。



ふふ、カワイイ。



ありがと、沢原くん。



私は、その黄色いアヒルちゃんを、指でつついた。



六畳間の私の部屋。



勉強机と、ベッドと、本棚と、クローゼットと……。


もう、この部屋もかれこれ一ヶ月は片づけしていない。



だって、リョウとの思い出が、あちこちに潜んでいるんだもん。
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