きいろいアヒル
そう言って、口角をあげて笑う沢原くん。



なんだか、私にはその表情がまぶしくて、見ていられなかった。



私は、目をそらしてうつむいてしまった。



胸が、どきどき、どきどき、していた。



ウソ。



私。



まさか。



その瞬間に生まれたキモチに、自分で驚いていた。



それは、苦しくて、そして、久しぶりなあたたかなキモチだった。



あの日。



沢原くんの前で泣けたことで、随分と心が軽くなったのも事実。



沢原くんの前で泣けたほど、この人に対して心を開いていた。



きっと、そう。



今、自分の気持ちにやっと気づいた。



きっと、そう。
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