きいろいアヒル
沢原くんのところは、今日も賑やかだ。



4、5人の生徒が集まって、何やら話をしていた。



私は、そこへは入れない。


いつも、彼とは放課後は話するけれど。



昼間、皆が集まっている中には、私は入ることができないでいた。



普段も口を利いたこともなかったし、それは放課後の補習でしか、私たちは言葉を交わさない。



いつもの私たちに戻るんだ。



いつもの私たちに戻るんだ。



お互い、しらんふりして。


気になっているクセに、しらんふりして。



好きだっていう気持ちを、心の奥底にしまって。



もう、他人に戻ってしまうんだわ。



放課後の補習の時間も。



あの、キラキラした宝石箱のような時間も。



もう、終わってしまったし。
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