きいろいアヒル
私は迷っていた。



正直に、今思っていることを話すのか。



それとも、なんとなくごまかすのか。



迷っていた。



だけれども、行動が先にでてしまった。



「花村さん」



私は、花村さんの両肩をつかみ、言葉を吐いた。



「なんで、沢原くんと、別れちゃったの?」
 


花村さんは、その私の突然の言葉に一瞬とまどいを見せた。



けれど、ふっと微笑んで、言った。



「それが、香田さんが泣いている理由?」



「――うん」



「そっかぁ。んー」



と花村さんは言って、辺りを見回し、自分の腕時計を見た。



「もうホームルーム始まる時間だし、……場所も場所だし。放課後、学食でお茶でもしない? その時話すわ」



私は、花村さんの両肩から手を離し、ハンカチで涙をぬぐって、“うん”と頷いた。
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