きいろいアヒル
今頃、沢原くんは、再試を受けている時間かな……。


そう思って、私は人影もまばらな学食の窓際のテーブルに座っていた。



「おまたせ」



そう言って、花村さんはテーブルの上に冷たい緑茶の缶を置いて、私の真向かいに座った。



私は、ペットボトルのミルクティを、ひとくち、飲んで、



「ごめんね。つきあわせちゃって」



と頭を下げてみせた。



「いいのよ、別に、気にしないで」



……花村さんは、ほんと、いい子だな。



やっぱり、それなのに、どうして別れちゃったのだろう。



沢原くんも、人気者だし、明るくて優しい、いい人なのに。



「じゃ、いきなり本題。どうして、朝、花村さんは泣いてたの?」



「……なんか、……訳がわからなくなって……」




「目の下のクマ、それもその悩みで眠れなかったの?」



私はうつむいて、こくん、と素直に頷いた。



「私と陵が何で別れたか、ってことで?」



私はまた、こくん、と頷いた。



「どうして?」
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