きいろいアヒル
「好きだったわよ。お互い。だけど、その好き、は友情での、好き、だってことに気づいたのよね」



「……」



「半年くらいかな、“つきあってた”の。だけど、その期間、一緒に帰ったり休日にはデートしたりするでしょ? だけど、私たち手を繋いだことって、一回もないの」



そう言って、彼女はお茶の缶を頬にあて、“つめたい”と片目を閉じた。



「どうして?」



「どうして、って。……お互い、その気がなかったのよね。結局、コイビトとして、お互いを求めていなかったの。手を繋ぐだとか、キスするだとか。……今、想像しても、陵とキスするなんて、兄弟とキスするのと同じで、何だか背筋が寒くなるわ」



「……そうなんだ……」



花村さんのストレートな言葉は、私の胸にスッと入ってきた。



「だから、今は、トモダチとして、仲良くやってるわ。さすがに、休日デートなんてしなくなったけれど」


私は、うん、うん、と、何度か首を縦に振った。
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