きいろいアヒル
そして、次の日。



1限目。



数学の“鬼”の授業が始まる頃だった。



賑やかなうちのクラスにしては珍しく、皆、きちんとお利口に机に座っていた。


皆、心なしか、そわそわしている。



……皆、沢原くんの再試の結果が気になるのかしら……。



そう思いながら、辺りをきょろきょろと見回していると、隣の席の沢原くんと目が合った。



彼は、にこっと、ひまわりのような明るい笑顔を見せてくれた。



私は……そんな彼の笑顔に、胸がきゅん、となってしまって、ひきつった笑顔しか見せられなかった。



「再試、受かるといいね」


「大丈夫。百点満点だから」



「……カンニングでもした」



「ばか。そんなことしねーよ」



こうやって、今までの放課後以外にも、普通に話せるようになって嬉しい。
< 78 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop